基本ルール
テキサスホールデム(ノーリミット)
自分だけに配られる手札2枚(ホールカード)と、全員共有の場札5枚(コミュニティカード)、合計7枚から最も強い5枚を作って争う。ただし勝つ方法は2つある — ショーダウンで勝つか、全員を降ろすか。後者が実力差の出るところ。
ゲームの流れ
- プリフロップ各自に手札2枚が配られる。SBの左隣(UTG)から順にアクション。最低でもBB額をコールしないと参加できない。
- フロップ場に3枚オープン。以降はSBから時計回りにアクション(=ボタンが最後)。
- ターン場に4枚目。ベット単位が上がる展開になりやすい。
- リバー場に5枚目。これで全カードが出そろう。ドローは完成か不成立かが確定する。
- ショーダウン最後にベット/レイズした人から手札を公開。強い方がポットを獲得。誰もベットしていなければSBに近い人から公開。
アクション(できること)
| アクション | 内容 | できる条件 |
|---|---|---|
| フォールド | 手札を捨てて降りる | いつでも |
| チェック | 賭けずに次の人へ回す | 自分より前に誰もベットしていない時 |
| ベット | 最初に賭ける | 誰もベットしていない時(最低BB額) |
| コール | 直前の額に合わせる | 誰かがベット/レイズした時 |
| レイズ | 上乗せして賭ける | 誰かがベット/レイズした時 |
| オールイン | 持ちチップ全部を賭ける | いつでも |
ブラインドとポジション名
ポーカーは「先に賭け金を置く義務」がないとゲームが動かないので、毎ハンド2人が強制ベットする。これがブラインド。
- SBスモールブラインド。BBの半額を強制的に出す。
- BBビッグブラインド。基準額。「100BB持ち」などのスタック表現もこれ基準。
- BTNボタン(ディーラーボタン)。毎ハンド左に1つ動く。ポストフロップで最後に行動できる最強ポジション。
6人テーブル(6max)の並び
| 略称 | 名称 | 位置 |
|---|---|---|
| UTG | アンダーザガン | BBの左隣。最初にアクション=最も不利 |
| HJ | ハイジャック | UTGの次 |
| CO | カットオフ | BTNの1つ前。盗みやすい良い位置 |
| BTN | ボタン | 最強。フロップ以降は常に最後 |
| SB | スモールブラインド | フロップ以降は最初に行動=不利 |
| BB | ビッグブラインド | 既に出資済みなので降りにくい |
ベット額のルール(ノーリミット)
- 最小ベット=BB額。
- 最小レイズ=直前のレイズ幅と同じ額以上を上乗せする。例:相手が2→6にレイズ(上げ幅4)なら、次は最低10。
- 上限=自分のスタック全額(オールイン)。
- チップが足りずオールインした場合、超過分はサイドポットとして別管理され、オールインした人はメインポットしか取れない。
- 持ち込めるのはテーブルに置いたチップのみ(テーブルステークス)。プレイ途中で財布から足すことはできない。
キャッシュゲームとトーナメントの違い
| キャッシュゲーム | トーナメント | |
|---|---|---|
| チップ | そのまま金額。いつでも換金 | 点数。順位に応じた賞金 |
| ブラインド | 固定 | 時間で上昇し続ける |
| 離脱 | いつでも可 | 飛ぶまで/終わるまで |
| 戦い方 | 1手ごとのEV最大化 | 生存価値(ICM)を加味 |
| スタック | 常に100BB前後 | 10〜200BBまで大きく変動 |
最初に押さえる3つの原則
1. 参加するハンドを絞る
初心者の最大の漏れは「見たいから見る」。参加率(VPIP)が50%を超えているなら、まずそこを直すだけで勝率が変わる。6maxなら20〜28%が目安。
2. 参加するなら主導権を取る
リンプ(ただコールして入る)ではなくレイズして入る。相手を降ろす権利(フォールドエクイティ)を手に入れられるのが大きい。
3. ポジションのある側で戦う
同じハンドでも、後に行動できるかどうかで期待値は大きく変わる。詳しくは「ポジション」タブへ。
役の強さ
上が強い。7枚から最強の5枚を選ぶ
A2345(ホイール)はAを1として使う最弱のストレート。QKA23のような繋ぎ方はできない。初心者が間違えやすい3点
キッカーとは
役を構成しなかった残りのカード。同じ役どうしの勝敗を決める。
例:ボードが A 9 5 2 K のとき
- あなた
A Q→ A A K Q 9 - 相手
A J→ A A K J 9
どちらもワンペアAだが、5枚目で Q > J となりあなたの勝ち。「Aは持ってるけどキッカーが弱い」ハンド(A7oなど)が事故る理由がこれ。
ボードでプレイする(Play the board)
場の5枚がそのまま自分の最強5枚になる場合、手札を使わなくてよい。例えばボードが A K Q J T(ストレート完成)なら、全員がストレートでチョップ(引き分け)。
誰かが同スートを1枚持っていればフラッシュになるので、こういう「全員同点」ボードでは大きく賭けないのが基本。
手札は必ず2枚使うわけではない
テキサスホールデムでは 手札0枚・1枚・2枚どれでも使ってよい(オマハは手札から必ず2枚使う点が違う)。だから「フラッシュができた」と思っても、自分のフラッシュカードが弱いと相手のより上のフラッシュに負ける。同スートが場に3枚並んだら、自分の持っているスートの高さを必ず確認する。
スターティングハンドの分類
| 分類 | 例 | 性質 |
|---|---|---|
| プレミアム | AA KK QQ AKs | どこからでもレイズ。積極的に大きなポットを作る |
| 強ペア | JJ TT 99 | オーバーカードが落ちると価値が急落。ポットを膨らませすぎない |
| スモールペア | 22〜66 | セットを引ければ大勝ち(約12%)。安く見て、外れたら降りる |
| 強エース | AK AQ AJs | ヒットすればトップペア最強キッカー。外すと何もない |
| スーテッドコネクター | JTs 98s 76s | ストレート/フラッシュ両方の可能性。ポジションがある時に真価 |
| スーテッドエース | A5s A2s | ナッツフラッシュ+ホイールストレート。3ベットのブラフ素材として優秀 |
| 危険なハンド | A7o KJo QTo K9o | ヒットしても負ける時は大きく、勝つ時は小さい。前の席では捨てる |
ポジション
ポーカーで最も安く手に入る優位性
ポジションとは「相手より後に行動できる権利」。同じAJoでも、UTGでは損、BTNでは得。ハンドの強さより席順の方が影響が大きい場面すらある。
なぜ後ろが有利なのか
- 情報が多い — 相手のアクションを見てから決められる。相手のチェックは弱さのサインになりやすい。
- ポットサイズを操作できる — 強い時は膨らませ、弱い時はチェックで回して安く終われる。
- ブラフが機能する — 相手が2回チェックしたところで打てば、成功率が上がる。
- フリーカードが取れる — ドローの時、チェックで回してタダで次のカードを見られる。
ポジション別の参加率の目安(6max・100BB)
| ポジション | オープン率 | 考え方 |
|---|---|---|
| UTG | 13〜16% | 後ろに5人。強いハンドだけ |
| HJ | 17〜20% | 少し緩める |
| CO | 25〜28% | ブラインド狙いが視野に入る |
| BTN | 42〜50% | ほぼ半分参加してよい。最も稼ぐ席 |
| SB | 35〜45% | リンプせずレイズかフォールドが基本 |
| BB | (防御40〜60%) | 既に1BB出資済み。安いなら広く受ける |
IP と OOP
IP(In Position / インポジション)
ポストフロップで後に行動する側。ブラフ・薄いバリューベット・チェックバックを全部使えるので、レンジを広くしても戦える。
OOP(Out Of Position / アウトオブポジション)
先に行動する側。情報がないまま決めなければならないので、レンジを狭く・強くしておく必要がある。OOPで多くのハンドをプレイするのが典型的な負けパターン。
実戦での使い方
- 「誰の後ろに座るか」を選ぶ — アグレッシブで上手いプレイヤーの左(後ろ)に座る。ルーズで下手なプレイヤーの右に座り、その人が先に行動するようにする。
- OOPからはリンプしない — SBからのリンプは、BBに無料でフロップを見せてしまう上、以降ずっとOOP。レイズするかフォールドする。
- ポジションがないなら手札の要求を1段上げる — 「BTNならレイズするけどUTGなら降りる」は正しい判断。
- コールドコールを減らす — 誰かがレイズした後にただコールで入るのは、ポジションがある時だけにする。
プリフロップ
最も再現性が高く、勉強のリターンが大きい領域
1. オープンレンジ(最初にレイズして入る)
6max・100BB・2.2〜2.5BBオープンを想定した目安。ソルバーの解は席や相手により少し変わるので、暗記でなく「形」を掴む。
レンジを見るときの着眼点
- 前の席ではオフスートがほとんど消える。逆にBTNではオフスートが大量に入る。
- UTGでも
A5s〜A2sが入っているのは、ナッツフラッシュとホイールストレートを作れて、なおかつ相手のAをブロックするから。A9o より A3s の方が価値が高い場面は多い。 - スーテッドは同じ数字のオフスートよりだいたい2段階分強く扱われる。
2. 3ベット(リレイズ)の考え方
3ベットは バリュー(強くて相手のコールが欲しい)と ブラフ(降ろしたい+降ろせなくても後で戦える)の2種類を混ぜて作る。全部強いハンドだと読まれる。
ブラフに使うハンドの選び方
- ブロッカーを持つ —
A5sは相手のAA/AKを減らす。KQsは相手のKK/QQ/AKを減らす。 - コールされても戦える — スーテッドで、ナッツを作れる可能性がある。
- コールするには弱すぎる —
K4sのように、そのままコールだと不利なハンドを昇格させる。 - 使わない —
KJoQToのような「ドミネートされやすいオフスート」はブラフにも不向き。
例:BTN から CO のオープンに3ベット(赤=バリュー/紫=ブラフ)
3ベットのサイズ
- IP(自分が後):相手のオープンの 約3倍(2.5BB → 7.5BB前後)
- OOP(自分が先):相手のオープンの 約4倍(2.5BB → 10BB前後)。ポジションがない分、降ろす力を強くする
- 間にコールしている人がいたら、その人数分だけ1オープン分ずつ足す
3. BBディフェンス(ブラインドを守る)
BBは既に1BB出しているので、コールに必要な勝率が非常に低い。BTNが2.5BBにレイズした場合、あと1.5BBを足して 5.5BB のポットを狙う → 必要勝率は約 27%。だから広く受けられる。
4. オープンに対する対応の優先順位
- 3ベットするかまず考える。強い(QQ+, AK)か、ブラフ素材として優秀(A5s, KQsなど)ならレイズ。
- コールするか。ポジションがあり、フロップ以降に伸びるハンド(ペア、スーテッド)ならコール。
- フォールド。オフスートのブロードウェイ(KJo, QTo, AToなど)は「なんとなくコール」が一番損。
① リンプ(コールで入る)— 主導権を捨て、後ろの人にレイズされる
② オープンサイズを手札で変える — 強い時だけ大きくするのは丸見え。常に同じサイズ
③ 3ベットされた時に毎回コール — 4ベットするかフォールドするかの判断を先に決めておく
ポストフロップ
フロップ以降。差がつくのはここ
① このボードはどちらのレンジに有利か → ② 自分のハンドはバリュー / ブラフ / 降りるのどれか → ③ いくら賭けるか。この順を毎回やる。手札だけ見て決めない。
ボードテクスチャを読む
| 種類 | 例 | 性質と対応 |
|---|---|---|
| ドライ | K♠ 7♦ 2♣ | 繋がらない。ドローが少ないので小さく高頻度でベットできる |
| ウェット | 9♥ 8♥ 6♠ | ドロー多数。大きく・頻度は絞って。守る必要がある |
| ペアボード | J♠ J♦ 4♣ | 両者ヒットしにくい。小さいベットが通りやすい |
| モノトーン | A♦ 8♦ 3♦ | フラッシュ完成の可能性。強くない役で大きく打たない |
| ローコネクト | 6♠ 5♥ 4♦ | BB側に有利(レイザーは高いカードが多い)。慎重に |
レンジアドバンテージ / ナッツアドバンテージ
- レンジアドバンテージ=レンジ全体としてボードにヒットしている割合が高い側。例:
A K 4のボードは、Aを多く持つプリフロップレイザー側が有利。 - ナッツアドバンテージ=最強クラスのハンドを多く持てる側。オーバーベットができるのはこちらを持っている側だけ。
- 両方持っていれば大きく打てる。レンジ有利だがナッツ不利なら小さく高頻度で打つ。
Cベット(コンティニュエーションベット)
プリフロップでレイズした人がフロップでも続けて打つこと。手札が当たっていなくても、相手のレンジも当たっていないので機能する。
| 状況 | サイズ | 頻度 |
|---|---|---|
| ドライ・自分がレンジ有利 | 1/4〜1/3ポット | 高い(70%〜) |
| ウェット・ドローが多い | 2/3〜3/4ポット | 絞る(40〜50%) |
| 相手有利なボード | — | チェック中心 |
| マルチウェイ(3人以上) | 大きめ | 大きく絞る |
SPR(スタック対ポット比)
SPR = 有効スタック ÷ 現在のポット。「どの強さの役なら全部入れられるか」を教えてくれる指標。
| SPR | 状況 | オールインしてよい役の目安 |
|---|---|---|
| 1〜3 | 3ベットポット等 | トップペア/オーバーペアでコミットしてよい |
| 4〜6 | 通常のシングルレイズポット | 2ペア以上が欲しい |
| 7〜13 | 深いスタック | セット以上。トップペアで全部入れない |
| 13〜 | 非常に深い | ナッツ級。ワンペアは大きなポットを避ける |
ブラフの選び方
ブラフは「何もないハンド」で打つのではなく、条件を満たすハンドで打つ。
- セミブラフを優先 — フラッシュドロー・ストレートドローなど、コールされても捲れるハンド。これが最良のブラフ。
- ブロッカーを持つ — 相手のナッツを自分が持っていることで否定できるハンド。例:フラッシュボードで自分が
A♦を持っていれば、相手のナッツフラッシュは存在しない。 - ショーダウンバリューがないものから —
K高のようにチェックしても時々勝てるハンドは、ブラフに回すよりチェックで安く終わらせる。 - 降りてくれる相手を選ぶ — 何でもコールする相手にはブラフしない。これは最大のエクスプロイト。
バリューベット
- 基準は「自分より弱い手にコールされるか」。YESなら打つ。相手が自分より強い手でしかコールしないなら、それはバリューベットではない。
- 薄いバリュー(thin value) — トップペア弱キッカーのような手でも、相手のコールレンジがもっと弱ければ打つ価値がある。中級から上級への差はここ。
- 3回打ちきる — 強い役でフロップだけ打って止める人が多い。フロップ・ターン・リバーの3ストリート分取れる計画を最初に立てる。
チェックレイズ
いつ使うか
- OOPで強い時 — 先に行動する不利を、相手に打たせてから上げることで取り返す。
- 相手がCベットを打ちすぎている時 — 最も効くエクスプロイト。
- 自分のレンジが有利なボード — 例:BBで
7 6 5のようなローボード。 - バリューとブラフを混ぜる — 強い役だけでチェックレイズすると即座に読まれる。ドローも混ぜる。
ターン・リバーのバレル(打ち続ける)判断
- 良いターンカード=自分のレンジを強くし、相手のレンジを弱くするカード。例:フロップでレイザー有利、ターンにAが落ちる。
- 悪いターンカード=相手のドローを完成させる/相手のレンジを助けるカード。ここでは頻度を落とす。
- ブランクカード=何も変えないカード。フロップの優位がそのまま続く。
- リバーは二択 — 「バリューが取れる」か「ブラフが通る」か。どちらでもないなら打たない。
コールするかどうかの決め方(ヒーローコール/フォールド)
順番に確認する:
- ポットオッズは何%必要か(「確率・計算」タブの電卓)
- 相手のこのアクションに至るレンジは何か
- そのレンジのうち、自分が勝てる割合は必要%を超えているか
- 相手のブラフ頻度は妥当か。ブラフし得るハンドが物理的に存在するか(全部完成している板ならブラフは少ない)
確率・計算
暗記より、下の電卓で感覚を作るのが速い
ポットオッズ電卓
アウツ早見表
アウツ=自分が勝てる役になる残りのカード枚数。
| アウツ | 代表例 | フロップ→リバー | ターン→リバー |
|---|
フロップで残り2枚見られる → アウツ × 4
ターンで残り1枚だけ → アウツ × 2
例:フラッシュドロー9アウツ → フロップで 9×4 = 36%(実際35.0%)、ターンで 9×2 = 18%(実際19.6%)。
※アウツが多い(12以上)と誤差が出るので、その時は「×4 − (アウツ−8)」で補正する。
ポットオッズ早見表
| 相手のベット | コールに必要な勝率 | MDF | ブラフ成功必要率 |
|---|---|---|---|
| 1/4 ポット | 16.7% | 80% | 20% |
| 1/3 ポット | 20.0% | 75% | 25% |
| 1/2 ポット | 25.0% | 66.7% | 33.3% |
| 2/3 ポット | 28.6% | 60.0% | 40.0% |
| 3/4 ポット | 30.0% | 57.1% | 42.9% |
| ポットベット | 33.3% | 50.0% | 50.0% |
| 1.5倍(オーバーベット) | 37.5% | 40.0% | 60.0% |
| 2倍(オーバーベット) | 40.0% | 33.3% | 66.7% |
主要な用語の式
EV(期待値)
EV = (勝つ確率 × 勝つ額) − (負ける確率 × 失う額)
1回の結果でなく、同じ状況を1000回繰り返した時の平均で考える。「正しい判断をして負ける」ことは普通に起こる。
ポットオッズ
必要勝率 = コール額 ÷(コール後のポット総額)
ポット100に50のベット → 50 ÷ (100+50+50) = 25%。25%以上の勝率があればコールが利益。
インプライドオッズ
後で追加で取れる額を織り込んだオッズ。セットを狙う小ペアのコールが成立するのはこれのおかげ。相手のスタックが深く、当たった時に払ってくれるタイプほど大きくなる。逆に相手が短いスタックなら成立しない。
リバースインプライドオッズ
当たっても負ける方が多い状況。例:K9で9のトップペア、KJで下位フラッシュ。「当たったのに大きく払う」ハンドは最初から避ける。
MDF(Minimum Defense Frequency)
MDF = ポット ÷(ポット+ベット)
これ以上降りると、相手はどんなハンドでもブラフして得になる。ハーフポットベットに対しては約2/3を続ける必要がある。
バリューとブラフの比率(リバー)
相手が無差別(コールしてもフォールドしても同じ)になるよう混ぜる。
| ベットサイズ | バリュー : ブラフ | ブラフ割合 |
|---|---|---|
| 1/2 ポット | 3 : 1 | 25% |
| 3/4 ポット | 2.3 : 1 | 30% |
| ポット | 2 : 1 | 33% |
| 2倍オーバーベット | 1.5 : 1 | 40% |
プリフロップの主要マッチアップ(概算)
| 対戦 | 勝率 | 呼び名 |
|---|---|---|
| AA vs KK | 81% / 19% | ペア vs 下位ペア |
| AA vs AKs | 88% / 12% | ドミネート最悪形 |
| AA vs 76s | 77% / 23% | ペア vs コネクター |
| KK vs AKo | 70% / 30% | ペア vs 1オーバー |
| QQ vs AKs | 54% / 46% | コインフリップ |
| AKo vs 22 | 47% / 53% | レース(2オーバー vs 小ペア) |
| AKo vs JTs | 58% / 42% | 2オーバー vs コネクター |
| AKo vs AQs | 71% / 29% | ドミネート |
| AKo vs KQs | 73% / 27% | ドミネート |
| 99 vs AJo | 57% / 43% | 中ペア vs 2オーバー |
・ポケットペアがフロップでセットになる確率 … 約12%(8.5回に1回)
・スーテッド2枚がフロップでフラッシュドローになる確率 … 約11%
・AKがフロップでペア以上になる確率 … 約33%
・AAが配られる確率 … 221分の1/何らかのポケットペア … 17分の1
GTO・上級
理論の骨格と、実戦での使いどころ
GTO=相手が何をしても負けない戦略(ナッシュ均衡)。
エクスプロイト=相手の弱点を突いてより勝つ戦略。
実戦の答えは「GTOを土台にして、相手の穴が見えたらそちらに寄せる」。GTOは最大利益の戦略ではなく、反撃されない基準線。
1. レンジ vs レンジで考える
上級者は「自分のAKがどうか」ではなく「このアクションを取る自分のレンジ全体がどう構成されているか」で考える。
- 自分のレンジを言語化する — 「BTNオープン→BBコール→フロップ K72 でCベット」の時、自分は何を持ちうるか。
- 相手のレンジを絞り込む — 各アクションごとに、あり得ないハンドを消していく。
- 穴を作らない — 「大きく打つ時は常にナッツ」なら、相手は全部降りればいい。強い時と弱い時で同じ行動を混ぜる。
2. ポラライズとリニア
| 構成 | 中身 | 使う場面とサイズ |
|---|---|---|
| ポラライズ | 最強+ブラフ(中間なし) | ナッツ有利な時。大きく/オーバーベット |
| リニア | 上から順に強い順 | 相手が弱いレンジの時。プリフロップの3ベットなど |
| マージ | 中〜強の塊 | 薄いバリュー中心。小さめのベット |
3. ブロッカー(カードリムーバル)
自分が持っているカードは、相手が持てない。これがレンジの読みを変える。
- ブラフに使う — 相手のナッツを否定するカードを持っている時にブラフする。フラッシュボードで
A♦を持っていれば、相手にナッツフラッシュはない。 - コールに使う — 逆に、相手のブラフ候補を自分が持ってしまっている時は、相手のブラフが減っているので降りる。
- プリフロップ —
A5sの3ベットブラフが強いのは、相手の AA / AK を減らすから。
4. 頻度とミックス戦略
- ソルバーの解は「このハンドは 70%ベット / 30%チェック」のように確率で混ぜることが多い。
- 実戦で厳密に混ぜる必要はない。ライブなら時計の秒針、オンラインなら時刻の下1桁など、自分でランダム化する方法を決めておけば十分。
- より重要なのは「頻度が0でも100でもない」という感覚。毎回同じ行動をとることが最大の穴になる。
5. オーバーベット
いつオーバーベットしてよいか
- ナッツアドバンテージがある — 自分だけが最強クラスを持ちうるボード。
- 相手のレンジが上限で頭打ち — 相手が「ワンペアばかり」のレンジになっている時。
- ブラフを十分な量混ぜられる — 2倍ポットならブラフ40%が必要。ブラフ素材がなければ打てない。
- 典型例 — ターン/リバーでAが落ちて、自分だけがAを多く持つレンジ。
6. エクスプロイト(相手別の調整)
| 相手のタイプ | 弱点 | こちらの調整 |
|---|---|---|
| コーリングステーション 何でもコール | 降りない | ブラフを全部やめる。薄いバリューを厚く取る |
| ナッツピーター 強い時しか続けない | 降りすぎ | ブラフを増やす。小さいベットで大量に降ろす |
| ルースアグロ 常に打ってくる | ブラフ過多 | コールレンジを広げる。チェックレイズを増やす |
| タイトパッシブ 参加が少ない | 受け身 | ブラインドを盗み放題。打ってきたら降りる |
| ショートスタック | 選択肢が少ない | プリフロップで大きく圧をかける。中途半端なコールをしない |
7. 母集団の典型的な穴
低〜中レートのプレイヤー全体に共通しやすい傾向。ここを突くのが最も再現性が高い。
- リバーでブラフが少なすぎる → リバーの大きなベットには素直に降りてよい。
- チェックレイズが少なすぎる → チェックレイズされたら大抵は本物。
- BBを守らなすぎる → BTN/COからのスチールを増やす。
- ドンクベット(OOPから先制)が弱い → ドンクベットしてきたら中途半端な手が多い。
- ペアボード・モノトーンボードで降りすぎる → 小さなベットが非常に通る。
- オーバーベットに対応できない → ナッツアドバンテージがある場面では積極的に。
8. 学習ツールとの付き合い方
- ソルバー(GTO Wizard / PioSOLVER など) — 出力を暗記するのでなく、「なぜこのハンドがこの頻度なのか」を1つずつ言語化する。
- トラッキングソフト(PT4 / HM3 など) — 自分のVPIP/PFR/3Bet/CBet/WTSD を見て、平均から外れている数字を1つずつ直す。
- エクイティ計算(Equilab など) — 「相手のレンジがこれなら自分は何%勝つか」を実際に手を動かして計算する。感覚が一気に正確になる。
トーナメント
キャッシュゲームと同じに戦うと必ず損する
トーナメントのチップは金額ではない。増やす時の価値より、失う時の損失の方が大きい(チップの限界価値の逓減)。だから「チップEVはプラスだが、賞金EVはマイナス」という判断が普通に発生する。これを数値化したものが ICM。
ICM(Independent Chip Model)
- 考え方 — 現在のスタックから「各順位になる確率」を計算し、賞金の期待値に換算する。
- 結果として起きること — コールレンジがきつくなる。特にバブル(次に1人飛べば入賞)と、ファイナルテーブルのペイジャンプ前。
- バブルファクター — 「1チップ失う痛み ÷ 1チップ得る喜び」の比。1.0ならキャッシュゲームと同じ。2.0なら失うダメージが2倍なので、必要勝率が跳ね上がる。
| 場面 | バブルファクター目安 | 影響 |
|---|---|---|
| 序盤・深いスタック | 1.0〜1.1 | ほぼキャッシュと同じでよい |
| 入賞バブル | 1.5〜2.5 | オールインコールを大幅に締める |
| ファイナルテーブル | 1.3〜3.0+ | ミドルスタック同士の衝突を避ける |
| ヘッズアップ(2人) | 1.0 | ICM圧力が消える。普通に戦う |
スタックサイズ別の戦い方(BB換算)
| スタック | 呼び方 | 基本方針 |
|---|---|---|
| 60BB+ | ディープ | キャッシュゲームに近い。ポストフロップで戦える |
| 30〜60BB | ミドル | 3ベットが強力。コールよりレイズ/フォールドを明確に |
| 20〜30BB | やや短い | 3ベットオールインが選択肢に。SPRが低いので中途半端なコールをしない |
| 12〜20BB | ショート | レイズしたら降りにくい。オールインかフォールドを中心に |
| 〜12BB | プッシュフォールド | レイズという選択肢を捨て、オールインかフォールドの二択 |
| 〜5BB | クリティカル | かなり広くオールイン。待つほど悪化する |
プッシュ/フォールド(目安)
ICMを考えない基本形(チップEV基準)。実戦のバブルではこれより締める。正確な表はナッシュ計算表に当たること。
| スタック | BTN からのオールイン | SB からのオールイン |
|---|---|---|
| 15BB | 約20%(77+, ATs+, KJs+, AJo+) | 約30%(22+, A2s+, A7o+, KTo+) |
| 10BB | 約35%(22+, A2s+, A5o+, K9s+, KTo+, QTs+) | 約47%(22+, A2s+, A2o+, K2s+, K7o+, Q6s+) |
| 7BB | 約45% | 約60% |
| 5BB | 約60% | 約75% |
| 3BB | 約80% | ほぼ全て |
ステージ別の方針
- 序盤(ブラインドが安い)スタックが深くICM圧力もほぼない。無理に増やさず、明確に有利な場面だけ。参加賞金が絡まないので普通に良いプレイをする。
- 中盤(アンティが入る)アンティが入るとポットが大きくなり、スチールの価値が急上昇。ここでスタックを作れるかが最大の分岐点。
- バブル前後相手のICM圧力を利用する。自分がビッグスタックなら最も攻める時間帯。ショートなら生存でなく、勝負どころを1つ選ぶ。
- ファイナルテーブルペイジャンプが大きい。ミドルスタック同士の衝突を避け、ショートスタックを狙う。1つ上がるだけで賞金が大きく変わる。
- ヘッズアップICMが消えるのでチップEV最大化に戻る。非常に広いレンジで戦う。BTN(SB)は60〜80%オープンが普通。
その他の実務
- レイトレジスト — 遅く入るとスタックが浅く不利だが、実力差が出にくく分散が大きい。上手いなら早めに入る方が期待値は高い。
- リエントリー/アドオン — 期待値がプラスなら基本的に受ける。予算管理が前提。
- チョップ(賞金分配) — ファイナルで提案されることがある。ICM基準の分配額を自分で計算できるようにしておく。
- タイムバンク — 大きな判断に使う。序盤の簡単な判断で消費しない。
上達・用語
よくあるミス、バンクロール、用語集
よくあるミス 12
1. 参加するハンドが多すぎる
最大かつ最も直しやすい漏れ。VPIPが40%を超えているなら、レンジ表どおりに絞るだけで収支が変わる。「見たいから見る」を消す。
2. リンプして入る
主導権を捨てるうえ、後ろの人にレイズされて不利な状況でコールすることになる。入るならレイズ。
3. ハンドの強さでベットサイズを変える
「強い時は大きく、ブラフは小さく」は完全に読まれる。同じ状況では同じサイズを使い、中身で混ぜる。
4. トップペアに惚れる
トップペアはワンペア。相手が大きく打ち続けている時、勝っていることは少ない。SPRを見て「入れきる役か」を最初に決める。
5. ブラフのしすぎ/しなさすぎ
初心者は少なすぎ、中級者は多すぎる傾向。ブラフは「相手が降りるか」で決める。何でもコールする相手には一切しない。
6. リバーで意味なく打つ
リバーのベットは「弱い手からバリューが取れる」か「強い手を降ろせる」かのどちらか。どちらでもないならチェック。
7. 相手を見ていない
同じハンド・同じボードでも、相手が誰かで正解は変わる。各プレイヤーの参加率と、降りやすさだけでもメモする。
8. 結果でプレイを評価する
正しい判断で負けることも、間違った判断で勝つこともある。判断そのものを振り返る。「勝ったから正しい」は上達を止める。
9. ティルト(感情の乱れ)
バッドビートの後に取り返そうとして参加率が上がる。「大負けしたら席を立つ」ルールを事前に決めておく。ルールは冷静な時にしか作れない。
10. バンクロールに対して高すぎるレートで打つ
実力があっても分散で飛ぶ。下の目安を守る。
11. マルチウェイで強気すぎる
3人以上のポットでは、誰かが強い役を持っている確率が跳ね上がる。ブラフの成功率は激減するので、バリュー中心に切り替える。
12. 疲れている時にプレイする
ポーカーは判断の連続。集中力が落ちた状態の1時間は、勝ち分をまとめて返す時間になりやすい。
バンクロール管理の目安
| 形式 | 推奨バンクロール | 補足 |
|---|---|---|
| キャッシュゲーム | 30〜50バイイン | 100BB=1バイイン。保守的なら50 |
| シット&ゴー | 50〜100バイイン | 1テーブル完結型。分散は中程度 |
| MTT(トーナメント) | 100〜300バイイン | 分散が非常に大きい。数百回単位で結果を見る |
効果的な学習の順番
- プリフロップを固める最も再現性が高く、覚えれば必ず使える。ポジション別レンジを1つずつ体に入れる。
- ポットオッズとアウツを暗算できるようにする迷う時間が減り、判断の精度が上がる。
- Cベットの頻度とサイズをボード別に整理するポストフロップで最も出現頻度が高い場面。
- 負けたハンドを振り返るプレイ後に3ハンドだけでよい。「どこで別の選択肢があったか」を書き出す。
- 相手のレンジを言葉にする癖をつける「たぶん強い」ではなく「AK / QQ+ / フラッシュドロー」と具体的に。
用語集
- VPIP
- 自発的にチップを入れた率。参加率。6maxで20〜28%が目安。
- PFR
- プリフロップレイズ率。VPIPとの差が小さいほどアグレッシブ。
- 3ベット
- 誰かのオープンレイズに対するリレイズ。ブラインドが1ベット目扱い。
- 4ベット
- 3ベットに対するリレイズ。この段階ではかなり強いレンジになる。
- Cベット
- プリフロップでレイズした人がフロップでも打つこと。
- ドンクベット
- OOP側が、レイザーより先にベットすること。
- フロートコール
- 役はないが、後でブラフする目的でコールしておくこと。
- セミブラフ
- 今は弱いが、伸びれば強くなるドローで打つブラフ。最良のブラフ形。
- ナッツ
- そのボードでの最強の役。「ナッツフラッシュ」=最上位のフラッシュ。
- キッカー
- 役を構成しなかった残りのカード。同役同士の勝敗を決める。
- ドミネート
- AQ が AK に押さえられているような、勝率が大きく劣る状態。
- アウツ
- 勝てる役になる残りのカード枚数。
- エクイティ
- 現時点でのポットに対する取り分(勝率)。
- フォールドエクイティ
- 相手を降ろせることで得られる価値。ブラフの根拠。
- SPR
- 有効スタック ÷ ポット。どの役でコミットできるかの指標。
- MDF
- 相手のブラフを利益ゼロにするために続けるべき最低頻度。
- ポラライズ
- 最強とブラフの両極だけで構成されたレンジ。大きく打つ根拠。
- ブロッカー
- 自分が持つことで相手のレンジからそのカードを消す効果。
- チェックレイズ
- チェックしてから、相手のベットに対してレイズすること。
- スクイーズ
- オープン+コーラーがいる状況での3ベット。降ろす力が強い。
- アイソレート
- 弱い相手と1対1になるためにレイズすること。
- ラン イット トワイス
- オールイン後に残りカードを2回配り、分散を減らす合意(可能な卓のみ)。
- バッドビート
- 大きく勝っていたのに逆転されること。
- クーラー
- 強い役同士がぶつかり、どちらも降りられない状況。ミスではない。
- ティルト
- 感情によって判断が崩れた状態。最大の損失要因。
- レーキ
- ハウスが取る手数料。低レートではこれが勝率に大きく影響する。
- ICM
- トーナメントのチップを賞金期待値に換算するモデル。
- バブル
- あと1人飛べば入賞という局面。ICM圧力が最大になる。
- ショーダウンバリュー
- 打たずに見せ合っても時々勝てる価値。あるならブラフに回さない。
- WTSD
- フロップを見た後にショーダウンまで行く率。高すぎると降り足りない。